車の小さな部品が壊れたとき、車全体を廃棄することは合理的ではありません。不具合のある部分だけを修理するはずです。もし車一台分に匹敵するような高付加価値なアッセンブリコンポーネントが動かなくなった場合、そのコンポーネントは廃棄ではなく、極めて慎重に修理されます。
ファインテックの長年のパートナーであるベルリンのAEMtec GmbHは、小型化のための高品質技術の分野で電子機器製造サービスを提供しています。同社が高度なSMDリワーク用に初めてFINEPLACER ®を購入したのは約20年前のことで、これをきっかけに、その後も数々のプロジェクトで両社は密接な協力関係を築いてきました。
本当に重要なときにこそファインテック
AEMtec社は、ウェーハステッパー用の複雑かつ貴重なアセンブリを開発・製造しています。その製造過程では、全サブアセンブリに対して、正常に機能することを確認するための中間テストが実施されています。しかし、このテストにおいて、性能レベルが仕様と一致しないことが判明し、いくつかのサブアセンブリを作り直さなければならない事態が発生しました。そこでAEMtec社は、総合的なアプリケーション経験を持つファインテックに依頼しました。セラミック部品に多数のはんだパッドを備えたマルチチップモジュールの組み立において、接続不良が発生し、部品全体が正しく機能しなくなっていたのです。 課題は、他の部品に影響を与えることなく、高密度実装下で個々の不良チップだけを交換することでした。
- 5×15mm2のチップを8個ずつ、0.5mm間隔で2列配置
- リワークサイクル中に、隣接するチップの干渉や損傷がないこと
- 100%確実な歩留まりが必要
リワークサイクルには、はんだ付けされているチップの除去や残留はんだの除去、新しいチップの正確な搭載とはんだ付けが含まれました。
課題はセラミックス自体でした。30層以上レイヤーを持ち一般的ではない厚みだったため、チップの除去に多くの熱を必要としたのです。しかし、熱エネルギーがアッセンブリ全体に広がるのを防ぐために、欠陥のある部分のみに厳密に熱を集中させる必要がありました。
将来を見据えたソリューション
これは特殊なタスクであったため、標準的なリワーク手法では対応することができませんでした。しかし、あらゆるアプリケーションにカスタマイズされたツールを提供できるファインテック社の能力により、これは実現されました。FINEPLACER®ステーションの基本機能であるモジュラー設計により、新しい課題に取り組むための変更対応も可能でした。
AEMtec社は以前、様々な種類のSMD部品の組み立てとリワークを行うための汎用FINEPLACER®システムを、すでに購入していました。このシステムをAEMtec社の新たな要件に適合させるため、ファインテックのアプリケーションエンジニアは、完全なリワークプロセスとともに、新しいリワークツールを開発しました。
- 特殊サーマルソルダリングヘッド
- 熱風を使わず、チップに直接接触して熱を伝える方式
- 簡単で迅速なはんだ除去
- リワークサイクルの安全性
AEMtec社のサンプル品を検証した結果、修理されたアセンブリは新品と同等の信頼性があり、全体として十分な生産量が確保できるようになることが分かりました。さらに、わずか数回のアップグレードで異なる用途に対応可能となったため、AEMtec社の初期設備投資としても、驚くほど効果的だったと言えます。
「要求の厳しいSMDリワークプロセスを構築する上で、ファインテックの技術的な専門知識とコミットメントは、大きな支えとなりました。 このプロジェクトは、当社がファインテックとのパートナーシップを長年にわたって充実させてきた理由を改めて証明したと言えるでしょう。」