// 世界最高のチップであっても、接合(ボンディング)されなければ意味がない

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インジウムバンプ相互接続(IBI)は今や、赤外線(IR)センサ、量子プロセッサ、そしてmicroLEDディスプレイの成否をひそかに左右する決定的な工程となっています。本ブログでは、なぜこのたった一つのフリップチップボンディングが製品の未来を決定づけるのか、その理由を詳しく紐解きます。

その接続構造は、これら3つの分野すべてにおいてほぼ共通しています。すなわち、1つの部品上に数千から数百万個におよぶ微細ピッチのマイクロインジウムバンプを配置し、フリップチップボンディングを行うというものです。インジウムバンプ相互接続は、赤外線焦点面アレイ(FPA)、超伝導量子プロセッサ、そして最新のmicroLEDディスプレイにおいて信号伝送を担っています。しかし現在、いずれのケースにおいても、接続対象となるチップ自体を製造すること以上に、この接合を成功させることの難易度が高まっています。

3つの用途すべてで核となる接合部:ボンディング前の基板上インジウムバンプ(上:露出状態/下:フォトレジスト保護後)

接合が失敗した場合、その不具合はきわめて直接的な形で表れます。量子ビットのコヒーレンス(量子コヒーレンス)の喪失、センサ上の不点灯ピクセル、あるいはディスプレイ上の不点灯エリア(ブラインドスポット)発生などです。3つの異なる製品でありながら、根本的な原因はすべて「接合インターフェース」の不具合にあります。

先進パッケージングにおいては、ボトルネックはもはやチップそのものではなく「アセンブリ(実装)」へシフトしています。デバイスの性能はそれを繋ぐ接合品質によって決まり、この接続技術を確立できた者が、これら3つの市場すべてで主導権を握ることになります。

ファインテックは長年にわたり、用途ごとに個別のテクニックを再調整するのではなく、これら3つの分野すべてに適用可能な標準化されたIBIフリップチップボンディングプロセスの確立に取り組んできました。なぜインジウムバンプ相互接続のフリップチップボンディングがこれほど決定的な技術となっているのか、その理由を解説します。プロセスの詳細については、弊社のホワイトペーパーをダウンロードしてご確認ください。

インジウムこそ唯一の機能する素材であり、それこそが問題である

インジウムが採用される理由は、他の代替材料では代替できない極めて優れてた特性にあります。極低温下でも延性を維持し、マイクロ波損失を低く抑えて信号を伝送し、熱膨張率の異なる材料間で生じる応力を柔軟に吸収します。

問題は「スケール(規模)」です。ヘテロジニアス・インテグレーション(異種材料統合)の進化により、ピクセル数や量子ビット数は増大し続け、チップサイズは大型化し、バンプピッチはますます微細化しています。

赤外線焦点面アレイ(FPA)では、20〜50 mm角の素子全体が、15 µmピッチで配置されたわずか5〜7 µmのインジウムバンプでほぼ埋め尽くされる方向に発展しており、コンポーネント全体のボンドライン(接合層)の厚みはわずか2〜4 µmしか残りません。わずか1 µmの位置ズレや傾き(チルト)が生じるだけでも、アレイ全体の性能が損なわれてしまいます。

また、使用される材料の特性上、安易なアプローチ(ショートカット)は許されません。熱に過敏な構造や熱膨張係数(CTE)のミスマッチがあるため、高温リフローやギ酸処理による強引な接合はもはや不可能です。常温または常温に近い環境下で、サブミクロン精度の高クリーンかつ高い再現性をもって接合を行う必要があります。これは、一般的なダイボンダーの限界を超える高い要求水準です。

すべての接合を左右する「5つの要素」

これら3つの用途すべてにおいて、求められる要件は共通しています:

  • コンポーネント全体における「サブミクロン精度の搭載精度」と「平行度」
  • バンプを押し潰すことなく接合するための「精密に制御された荷重」
  •  ボンディング工程に入る前の段階から部品をクリーンに保つ「マテリアルハンドリング」
  • 搭載するその瞬間における「酸化物のないクリーンな接合表面」
  • ダイボンダー上で不具合を即座に検知する「プロセス中での計測」

これらを達成するということは、単一の機能に頼るのではなく、接合に関わるすべてのステップを包括的に制御することを意味します。以下の5つの要素は、上記の要件にそれぞれ対応しています。

「搭載精度」と「平行度」は妥協できない必須要件です。 面内(In-plane)では、すべてのバンプが目標位置に対して1ミクロンの数分の一以下の精度で接触しなければなりません。高さ方向(In-height)においては、数十ミリメートル幅のコンポーネントに対してバンプアレイの高さはわずか数ミクロンしかないため、ツールと基板はほぼ完璧に平行(パラレル)でなければなりません。サブミクロン精度の搭載機能により各バンプを正確な位置へ配置し、パッシブ・レベリング(受動的水平出し)機構によって片側を押し潰して反対側が離れてしまうのを防ぎ、パーツ全体に対して均一な荷重を印加します。

すべてのアプリケーションで平行度が荷重の均一性を決定づけます:不均一(左:誤差 約5〜6 µm)と 均一(右:誤差 約1 µm)の比較

「荷重制御」により、接合対象を保護します。 設定可能な荷重範囲は非常に狭く、タッチダウン時の制御された加減速制御(ランプ制御)により、微細ピッチアレイを押し潰したり擦り切ったりする滑りや剪断を防ぎます。microLEDでは、より微細な発光素子を保護するために最も低い荷重での処理が必要となります。量子デバイスでは、荷重制御に加えて厳格な温度制御も組み合わされます。これら双方が量子ビットのコヒーレンスに影響を与えるためです。


「ハンドリング」により、接合前の歩留まり低下を防ぎます。
ピンセットによる手動ハンドリングは、汚染や損傷の主な原因となります。これは、繊細なIRアレイから極小のmicroLEDエミッタに至るまで、部品が最も壊れやすい部分で顕著に影響が生じます。専用のマテリアル・キッティング・パックを使用することで、ピンセットを使わないローディング、搬送、反転(フリップ)が可能となり、作業者がほとんど(あるいは全く)触れることなく準備からボンディングまで移行することができます。この前工程(アップストリーム)での準備こそが、陰で歩留まりを左右する重要なポイントとなります。

「表面処理」が、荷重を加える前の段階で接合の成否を決定づけます。 表面の酸化物や残留物はボイド(気泡)や接合不良の原因となり、クリーンな面が空気に触れた瞬間に形成され始めます。ダイボンダー内でプロセスの一部として統合された大気圧プラズマクリーニング機能により、別装置への移送を行うことなく、搭載の直前で表面の洗浄と活性化を行います。量子デバイスの製造では、インジウムの接合面を無酸化状態に保つため、窒素またはギ酸パージ環境が追加されます。この同じ原理によって、サブミクロン精度のmicroLED接合における不点灯ピクセルの原因となる汚染を防ぐことも可能です。

「装置内計測(In-situ measurement)」により、全工程を同一プロセス内で完結します。 レーザー高さセンサが平坦度をマッピング、平行度を確認することにより、ボンダー内でボンドライン厚み(BLT)を推定します。これにより、後工程に送ることなく、その場で問題を検知・補足します。

これらのステップは、単体で見れば特別に奇抜なものではありません。極めて困難なのは、接合部でほぼ全体が覆われたコンポーネントに対して、これらすべての要素を同時に、かつ高い再現性で維持実行することです。ファインテックはこれらを標準化し、FINEPLACER® femto2 上で単一の「IBIフリップチッププロセス」として確立しました。

まったく異なる3つのチップの下にある「共通の接合技術」

この単一の標準化されたIBIプロセスは、まったく異なる3つの市場に対応します。それぞれの分野で求められる理由は異なりますが、達成される成果は同じです。すなわち「R&Dから量産へ移行可能な、高い歩留まりと優れた再現性を備えた接合」です。

赤外線(IR)センサのアセンブリでは、赤外線焦点面アレイ(FPA)向けに、R&Dから高歩留まりな量産へと移行するためのスピーディで安全なプロセスを提供します。

  • 機能評価および極低温ストレス試験において、実際のFPAで 99%以上のインターコネクト歩留まり を達成
  • 最初のサンプルからわずか 6時間 で接合成功へと到達
  • 標準化されたツールと最小限の非機密プロダクトデータにより、機密情報(IP)を保護

量子パッケージングでは、超伝導量子プロセッサ向けに、超伝導インジウム相互接続を通じて積層された量子ビットと制御・読み出し用電子回路を接続し、3D統合を実現します。

  • • サブミクロンレベルの搭載精度と1 µm以内の平行度により、99%以上のインターコネクト歩留まりを実現
  • 量子ビットのコヒーレンスとミリケルビンレンジの極低温サイクル処理下での優れた安定性を実現する精密な荷重および温度制御
  • 障害耐性量子計算ユニット(QPU)における、コンセプト検証から量産までサポート

Peak Quantum社が実現するフォールトレラント超伝導量子ビットの構築事例を見る

microLEDのアセンブリでは次世代microLED向けに、極小のエミッタ(発光素子)が必要とするサブミクロン精度でのインジウムバンプ・フリップチップボンディングを提供します。

  • 超低荷重および室温環境下にて、わずか 300 nmサイズ の極小エミッタの常温圧着(コールドコンプレッション)ボンディングを実現
  • サブミクロンレベルの平坦度と平行度により、極小のエミッタであっても均一な接触を実現
  • 研究室からパイロット生産への移行において、初期歩留まり 85%以上 を達成

Polar Light Technologies社による次世代MicroLEDディスプレイの開発事例を読む

1,000回目の接合結果は、1回目の結果と寸分違わず一致しなければならない

これらのすべてのストーリーにおいて、最も重要なのは「再現性」です。開発段階でたった1回成功した接合は、プロセスが機能することを示すに過ぎません。その結果を何千サイクルにもわたって維持できて初めて、量産体制へ移行できることが証明されます。

  • 赤外線センサのアセンブリにおいて、一度サブミクロン精度を達成しても、次の動作サイクルで精度がドリフト(狂う)してしまっては意味がありません。
  • 量子技術向けインテグレーションは、検証機で機能したとしても、実際の生産ラインへの移行に耐えうるものでなければ意味がありません。
  • microLEDで85%以上の歩留まりを達成したとしても、一括(バッチ)ボンディングにおいてその精度が保持されなければ意味がありません。

真に重要なのは、日ごと、シフトごと、あるいは作業者ごとに生じる「精度や歩留まりのブレ」をいかに最小限に抑えられるかです。

したがって、IBIのスケールアップ(規模拡大)においては、精度と同様に「自動化」が重要となります。生産量が増加するにつれて、公差(トレランス)を緩めることなく、同じサブミクロンプロセスをより自動化し、オペレーターへの依存度を下げていく必要があります。自動ハンドリング、自動キャリブレーション、そして装置内蔵の計測機能はその方向性を示しており、最大12インチ(300 mm)ウエハへの対応も、この高精度を量産プロセスへ展開するための重要な要素となっています。

接合技術の難易度は、ここからさらに高まる

技術の進むべき方向性は明確です。バンプの微細化、コンポーネントの大型化、高密度化、そしてウエハレベルでのアプローチが1接合あたりのコスト(Cost per bond)への関心を高める中で増大するコストプレッシャー。これらすべてのトレンドが、接合の難易度を一層引き上げ、プロセス制御の重要性をより決定的なものにしています。

赤外線サーマルイメージング、量子コンピューティング、そしてmicroLEDは、一見するとまったく異なる産業のように見えます。しかし、その根本においては一つの要求へ収束します。それは「より多くの相互接続を、より正確に、より高い歩留まりで配置し、それを量産環境で維持すること」です。IBIはそれほどまでに戦略的なコアプロセスとなっており、この技術をスケール感を持って極めることこそが、多くの最先端デバイスが量産化に到達できるか否かを決める「真の決定打」です。

実際のプロセス動作や詳細についてご興味はお持ちでしょうか? 弊社のホワイトペーパーでは、レベリングと荷重制御範囲、接合荷重と温度プロファイル、平行度と精度の評価手法、そして本記事の成果を支える再現可能なプロセスパラメータについて、さらに深く解説しています。

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