2020年に設立されたTERASiは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くディープテック系スタートアップ企業で、高周波無線アプリケーション向けのユニークなコンポーネントやパッケージの設計および製造を社内で行っています。TERASiの技術は、王立工科大学(KTH)の学術研究と長年にわたる社内R&Dを基盤としています。そして現在、同社は自社の技術を拡大し、それを市場に投入するというミッションに着手しています。
SiPによるSWaPの改善
TERASiは、ワイヤレスやレーダー、宇宙分野のアプリケーション向けにスタンドアロン製品を幅広く開発しています
これには、バックホールやレーダー、衛星通信などの用途に向けた高利得・高効率アンテナ、小型軽量で高性能なフィルター、および計測やテストなのどの計測アプリケーションで使用される精密導波路が含まれます。TERASiは現在、その革新的な技術をベースに、ワイヤレスアプリケーション用の完全なモジュールを提供する事業を拡大中です。
革新的かつスケーラブルな製造ソリューションとRFおよび半導体に対する先進的な設計を組み合わせたTERASiの独自技術は、業界をリードする、サイズ・重量・性能を兼ね備えたSWaPなハードウェアを提供することでワイヤレスの未来を実現しています。
同社のモジュールは、アクティブコンポーネントとパッシブコンポーネントを分離したシステムインパッケージ(SiP)アーキテクチャを採用しています。これ効率を最大限に高めるために基本原則に立ち返るアプローチで、特に5G/ミリ波や次世代の6G技術の台頭において重要なものです。TERASiのパッケージにアクティブコンポーネントを統合するためには、極小のダイを高精度かつ高い繰り返し精度性をもって搭載する必要があり、新たなダイボンディングソリューションが必要です。
主な利点は
- RF、機械的、熱的性能の向上
- RF損失の低減による効率性の向上
- チップの簡素化による低コスト化
実践への展開
ISO 9001:2015およびISO 14001:2015認証を取得済みのクリーンルーム施設に新たな設備を整えるために、TERASiは、試作やその後の小規模なシリーズ生産における幅広い潜在的用途に対応可能な多用途で信頼性の高いダイボンディングソリューションを探していました。
さまざまなサンプルランを通じ、Finetechは現実的な汎用性能を証明することができました。TERASiにとっては、これは非常にエキサイティングなことでした。なぜならば、これは彼らのコンセプトを実用化できる初めての試みだったからです。
特にTERAsi社の要件に適していたのは、ファインテック社のモータライズド・テーブルトップ・ダイボンダー「FINEPLACER® pico 2」でした。この機種は500Nの熱圧着ボンディングとスタッキングの両方に対応し、精密ディスペンサーによるエポキシダイアタッチも可能でした。また、検討段階で超音波アプリケーションが必要となる可能性も発見されたため、それに適応するための超音波ボンディングモジュールも構成に追加されました。
加えて特定のニーズに応えるため、フ専用ボンディングツールや特殊真空チャネル付き特注基板加熱プレートなど、ァインテックはいくつかの改良も実施しました。
また、ハードウェアとソフトウェアのさまざまな微調整により、オペレーターの作業性も向上しました。
装置だけではなく
装置の納品とトレーニングに加えて、ファインテックチームは、豊富なアプリケーション経験を共有すべく、TERASi社に追加の技術ガイダンスとプロセス開発サポートも提供しました。
現在、TERASiはFINEPLACER® pico 2を導入することで、システムインパッケージ(SiP)ソリューションを用いた完全ワイヤレスモジュールの開発と製造に成功し、その市場投入は2025年初頭の見込みです。